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二世帯住宅の場合でも小規模宅地等の特例などの相続税対策はできますか?

  • 文責:所長 税理士 田中浩登
  • 最終更新日:2022年6月27日

1 小規模宅地等の特例を利用できる場合

被相続人が自身の所有している不動産に居住していた場合には、小規模宅地等の特例を用いることにより、相続税の負担を大きく軽減することができる可能性があります。

小規模宅地等の特例とは、一定の不動産について、限度面積までは、土地の評価額を減額することができるという特例です。

上記のように、被相続人が居住していた不動産については、330㎡の限度面積までは、土地の評価額を8割も減額することができます。

池袋のように地価が高い地域では、この特例を用いることにより、相続財産の評価額を大きく減少させることができます。

このように、小規模宅地等の特例は、相続税の負担を軽減する上で極めて効果的な手段ですが、特例の適用を受ける前提として、いくつかの要件を満たす必要があります。

たとえば、被相続人の自宅を取得したのが、被相続人と同居していた親族であれば、申告期限までその不動産に居住し、かつ、その不動産を所有し続けさえすれば、申告を行うことにより、小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。

他方、被相続人の自宅を取得したのが、被相続人と別居していた親族である場合は、被相続人に配偶者と同居親族が存在せず、かつ、相続開始前3年以内に自分または配偶者が所有する家屋に居住したことがないという厳しい要件を満たす場合に限り、小規模宅地等の特例を受けることができます(ただし、配偶者に関しては、これらの要件を満たさなかったとしても、小規模宅地等の特例の適用を受けることができます)。

このように、被相続人と同居していたかどうかによって、小規模宅地等の特例の適用を受けることができるかどうかが大きく変わってくることとなります。

2 二世帯住宅の場合

それでは、被相続人と同居していた親族であるかどうかは、どのように判断されることとなるのでしょうか。

判断に迷うのが、二世帯住宅になっている場合、被相続人と同居していたということができるのかどうかです。

かつては、独立した出入口が存在するかどうか、住宅内で行き来ができるかどうか等によって、同居と言えるかどうかが判断されていた時期もありました。

しかし、平成26年以降に発生した相続については、区分登記がなされているかどうかにより、区別がなされることとなっています。

区分登記は、多くの場合、マンションについてなされている登記ですが、戸建住宅についても、区分登記がなされていることもあります。

区分登記がなされていない建物であれば、二世帯住宅であっても、被相続人と同居していたものと扱われることとなり、小規模宅地等の特例を用いることが可能になります。

入口が別々であり、屋内で行き来することができない完全分離型の二世帯住宅であっても、区分登記がなされていなければ、小規模宅地等の特例を用いることができます。

これに対して、区分登記がなされている二世帯住宅については、同居していなかったものと扱われ、同居親族であることを理由として小規模宅地等の特例を用いることができないこととなります。

このように、区分登記がなされているかどうかによって、小規模宅地等の特例を用いることができるかどうかの結論は、大きく異なってくることとなります。

この点については、法務局で登記簿謄本を取得すれば、すぐに確認することができます。

3 すでに区分登記がなされている場合

それでは、すでに区分登記がなされている二世帯住宅については、小規模宅地等の特例を用いることは一切できないのでしょうか。

この場合であっても、被相続人が存命であるうちに区分登記を解消すれば、小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。

具体的には、①区分所有権の一部の交換契約を行い、区分登記から共有登記への変更を行うこと、②区分所有権を譲渡し、区分合併登記を行うことが考えられます。

もっとも、前者の場合は、前提として、共有登記が可能な建物かどうかを調査する必要があります。

また、後者の場合は、区分所有権の譲渡について、贈与税が課税されることに注意する必要があります。

4 注意を要する場合

注意しなければならないのは、以上の話は、二世帯住宅が1棟の建物になっていることを前提としているということです。

同じ敷地内に2棟の建物が建っており、1棟を被相続人が、1棟を親族が使用している場合には、被相続人と親族が1棟の建物に居住しているわけではありませんので、同居親族であることを理由として小規模宅地等の特例を用いることは、そもそもできないこととなります。

たとえば、2棟の建物を渡り廊下で繋いでいるに過ぎない場合も、2棟の建物のままであると考えざるを得ませんので、小規模宅地等の特例を用いることはできません。

これに対し、1棟の建物を増築し、増築部分に親族が居住している場合は、1棟の建物に居住していると評価することができますので、区分登記の有無により、小規模宅地等の特例が適用されるかどうかが判断されることとなります。

5 その他の要件

二世帯住宅について、同居親族であることを理由として、小規模宅地等の特例を用いる際には、他にも様々な要件を満たす必要があります。

まず、居住用不動産を同居親族が取得する必要があります。

次に、同居親族が、相続税の申告期限(相続開始を知ってから10か月間)までその不動産を所有し続け、かつ、その不動産に居住し続ける必要があります。

相続税申告を行うことも、他の場合と同じく、要件となります。

6 小規模宅地等の特例についてのご相談

被相続人の方が池袋やその周辺に居住用不動産をお持ちだった場合は、小規模宅地等の特例を用いることができるかどうかによって、相続税の額が大きく異なってくることがあります。

しかし、上に書いたように、小規模宅地等の特例を用いることができるのかどうかをご自分で判断することは難しい場合があります。

特例を適用することができるかどうかについては、慎重に判断を行わなければなりませんので、特例の適用の可否を判断する際には、相続税に詳しい税理士に相談すべきでしょう。

当法人は、池袋の相続税に関するご相談をお受けしていますので、小規模宅地等特例についてのご相談がありましたら、当法人までお問い合わせください。

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